【2018年2/4】関西大学入試解答速報掲示板【関大解答速報】 - 関西大学
【2018年2/4】関西大学入試解答速報掲示板【関大解答速報】
0名前を書き忘れた受験生 2018/02/02 01:22 14685view
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122/4関西大学 古典 全訳完成しました! 2018/02/04 22:04
あの有明の君は、夢のようにはかなかった逢瀬をお思い出しになって、とても物嘆かしくて物思いに沈んでいらっしゃる。春宮には、卯月ころに入内とご予定になっていたので、とてもたまらなく悩んでいらっしゃったが、男君も、お捜しになるにも手がかりがないわけではないが、どの姫君とも分からず、特に好ましく思っておられないご一族に関係するのも、体裁の悪いと思い悩んでいらっしゃるところに、弥生の二十日過ぎに、右の大殿の弓の結があり、上達部や、親王方が、大勢お集まりになって、引き続いて藤の花の宴をなさる。桜の花盛りはもう過ぎてしまったが、「他のが散りってしまった後に」と、教えられたのであろうか、遅れて咲く桜、二本がとても美しい。新しくお造りになった御殿を、姫宮たちの御裳着の儀式の日に、磨き飾り立ててある。派手好みでいらっしゃるご家風のようで、すべて当世風に洒落た行き方になさっている。
源氏の君にも、先日、宮中でお会いした折に、ご案内申し上げなさったが、おいでにならないのでは、残念なので、折角の催しも見栄えがしない、とお思いになって、ご子息の四位少将をお迎えに差し上げなさる。
「わたしの邸の藤の花が世間一般の色をしているのなら
どうしてあなたをお待ち致しましょうか」
宮中においでの時なので、お上に奏上なさる。
「得意顔だね」と、お笑いあそばして、
「わざわざお迎えがあるようだから、早くお行きになるのがよい。女御子たちも成長なさっている所だから、赤の他人とは思っていまいよ」
などと仰せになる。御装束などお整えになって、たいそう日が暮れたころ、待ち兼ねられて、お着きになる。
桜襲の唐織りのお直衣、葡萄染の下襲、裾をとても長く引いて。参会者は皆袍を着ているところに、しゃれた大君姿の優美な様子で、丁重に迎えられてお入りになるお姿は、なるほどまことに格別である。花の美しさも圧倒されて、かえって興醒ましである。
管弦の遊びなどもとても興趣深くなさって、夜が少し更けていくころに、源氏の君は、たいそう酔って苦しいように見せかけなさって、人目につかぬよう座をお立ちになった。
寝殿に、女一の宮、女三の宮とがいらっしゃる。その東の戸口にいらっしゃって、寄り掛かってお座りになった。藤の花はこちらの隅にあったので、御格子を一面に上げわたして、女房たちが端に出て座っていた。袖口などは、踏歌の時に似て、わざとらしく出しているのを、似つかわしくないと、まずは藤壺周辺の奥ゆかしさを思い出さずにはいらっしゃれない。
「苦しいところに、とてもひどく勧められて、困っております。恐縮ですが、この辺の物蔭にでも隠させてください」
と言って、妻戸の御簾を引き被りなさると、
「あら、困りますわ。身分の賎しい人なら、高貴な縁者を頼って来るとは聞いておりますが」
と言う様子を御覧になると、重々しくはないが、並の若い女房たちではなく、上品で風情ある様子がはっきりと分かる。
空薫物を、とても煙たく薫らせて、衣ずれの音も、とても派手な感じにわざと振る舞って、心憎く奥ゆかしい雰囲気は欠けて、当世風な派手好みのお邸で、高貴な御方々が御見物なさるというので、こちらの戸口は座をお占めになっているのだろう。そうしてはいけないことなのだが、やはり興味をお惹かれになって、「どの姫君であったのだろうか」と、胸をどきどきさせて、
「扇を取られて、辛い目を見ました」
と、わざとのんびりとした声で言って、近寄ってお座りになった。
「妙な、変わった高麗人ですね」
と答えるのは、事情を知らない人であろう。返事はしないで、わずかに時々、溜息をついている様子のする方に寄り掛かって、几帳越しに、手を捉えて、
「月の入るいるさの山の周辺でうろうろと迷っています
かすかに見かけた有明の月をまた見ることができようかと
なぜでしょうか」
と、当て推量におっしゃるのを、堪えきれないのであろう。
「本当に深くご執心でいらっしゃれば
たとえ月が出ていなくても迷うことがありましょうか」
と言う声は、まさにその人のである。とても嬉しいのだが……。
あの有明の君は、夢のようにはかなかった逢瀬をお思い出しになって、とても物嘆かしくて物思いに沈んでいらっしゃる。春宮には、卯月ころに入内とご予定になっていたので、とてもたまらなく悩んでいらっしゃったが、男君も、お捜しになるにも手がかりがないわけではないが、どの姫君とも分からず、特に好ましく思っておられないご一族に関係するのも、体裁の悪いと思い悩んでいらっしゃるところに、弥生の二十日過ぎに、右の大殿の弓の結があり、上達部や、親王方が、大勢お集まりになって、引き続いて藤の花の宴をなさる。桜の花盛りはもう過ぎてしまったが、「他のが散りってしまった後に」と、教えられたのであろうか、遅れて咲く桜、二本がとても美しい。新しくお造りになった御殿を、姫宮たちの御裳着の儀式の日に、磨き飾り立ててある。派手好みでいらっしゃるご家風のようで、すべて当世風に洒落た行き方になさっている。
源氏の君にも、先日、宮中でお会いした折に、ご案内申し上げなさったが、おいでにならないのでは、残念なので、折角の催しも見栄えがしない、とお思いになって、ご子息の四位少将をお迎えに差し上げなさる。
「わたしの邸の藤の花が世間一般の色をしているのなら
どうしてあなたをお待ち致しましょうか」
宮中においでの時なので、お上に奏上なさる。
「得意顔だね」と、お笑いあそばして、
「わざわざお迎えがあるようだから、早くお行きになるのがよい。女御子たちも成長なさっている所だから、赤の他人とは思っていまいよ」
などと仰せになる。御装束などお整えになって、たいそう日が暮れたころ、待ち兼ねられて、お着きになる。
桜襲の唐織りのお直衣、葡萄染の下襲、裾をとても長く引いて。参会者は皆袍を着ているところに、しゃれた大君姿の優美な様子で、丁重に迎えられてお入りになるお姿は、なるほどまことに格別である。花の美しさも圧倒されて、かえって興醒ましである。
管弦の遊びなどもとても興趣深くなさって、夜が少し更けていくころに、源氏の君は、たいそう酔って苦しいように見せかけなさって、人目につかぬよう座をお立ちになった。
寝殿に、女一の宮、女三の宮とがいらっしゃる。その東の戸口にいらっしゃって、寄り掛かってお座りになった。藤の花はこちらの隅にあったので、御格子を一面に上げわたして、女房たちが端に出て座っていた。袖口などは、踏歌の時に似て、わざとらしく出しているのを、似つかわしくないと、まずは藤壺周辺の奥ゆかしさを思い出さずにはいらっしゃれない。
「苦しいところに、とてもひどく勧められて、困っております。恐縮ですが、この辺の物蔭にでも隠させてください」
と言って、妻戸の御簾を引き被りなさると、
「あら、困りますわ。身分の賎しい人なら、高貴な縁者を頼って来るとは聞いておりますが」
と言う様子を御覧になると、重々しくはないが、並の若い女房たちではなく、上品で風情ある様子がはっきりと分かる。
空薫物を、とても煙たく薫らせて、衣ずれの音も、とても派手な感じにわざと振る舞って、心憎く奥ゆかしい雰囲気は欠けて、当世風な派手好みのお邸で、高貴な御方々が御見物なさるというので、こちらの戸口は座をお占めになっているのだろう。そうしてはいけないことなのだが、やはり興味をお惹かれになって、「どの姫君であったのだろうか」と、胸をどきどきさせて、
「扇を取られて、辛い目を見ました」
と、わざとのんびりとした声で言って、近寄ってお座りになった。
「妙な、変わった高麗人ですね」
と答えるのは、事情を知らない人であろう。返事はしないで、わずかに時々、溜息をついている様子のする方に寄り掛かって、几帳越しに、手を捉えて、
「月の入るいるさの山の周辺でうろうろと迷っています
かすかに見かけた有明の月をまた見ることができようかと
なぜでしょうか」
と、当て推量におっしゃるのを、堪えきれないのであろう。
「本当に深くご執心でいらっしゃれば
たとえ月が出ていなくても迷うことがありましょうか」
と言う声は、まさにその人のである。とても嬉しいのだが……。
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