東京大学の次期総長に藤垣裕子教授 初の女性総長、2027年4月から6年間
教職員の意向投票では2位。入試・高大接続を担当する理事・副学長も務めた

東京大学は2026年9月28日(月)、藤井輝夫総長の任期満了に伴う次期総長予定者に、大学院総合文化研究科の藤垣裕子(ふじがき・ゆうこ)教授を選出した。任期は2027年4月1日から2033年3月31日までの6年間で、文部科学大臣の任命を経て第32代総長に就任する予定。女性が東京大学の総長になるのは初めてとなる。なお、東京大学では学長を「総長」と呼んでいる。

意向投票では2位、選考・監察会議が総合的に判断
今回の総長選考では、9人の第1次総長候補者から5人の第2次総長候補者が選ばれ、9月28日に教職員による意向投票が行われた(有資格者2,583人)。1回目の上位3人を対象にした2回目の投票では、染谷隆夫候補が最も多い1,107票を集め、藤垣候補は553票だった。
| 候補者(五十音順) | 1回目 | 2回目 |
|---|---|---|
| 大越慎一 | 363票 | − |
| 菅野暁 | 152票 | − |
| 染谷隆夫 | 818票 | 1,107票 |
| 藤垣裕子 | 400票 | 553票 |
| 山本隆司 | 377票 | 451票 |
| 白票 | 45票 | 58票 |
| 計 | 2,155票 | 2,169票 |
総長予定者を決めるのは、意向投票ではなく「総長選考・監察会議」だ。会議は、選考の初めに公表した「求められる総長像」に照らし、候補者の所信や面接、意向投票の結果などを総合的に考えて判断する仕組みになっている。
意向投票で最も支持を集めた候補者が選ばれなかった点について、会議の国谷裕子議長は9月29日付の文書で、資料や面接をもとに協議を重ねて責任をもって選んだと説明し、学内の教職員にも理解を得られる結果だとの考えを示した。
選考理由は「学術への信頼を回復する力」
会議が公表した選考理由によると、東京大学では近年、ガバナンス(組織の運営・管理)上の課題が相次いで表面化しており、不測の事態に対応できる体制づくりが急ぎの課題になっている。そのため選考では、高い倫理観で大学の社会的な信頼を回復し、しっかりした運営体制を作れる力も重視したという。
そのうえで会議は、藤垣氏について次の点を評価した。
- 理事・副学長の経験を通じて、東京大学が学術界の象徴であることを強く意識している
- 専門である「科学技術を社会に伝える」コミュニケーション力を生かし、学術への信頼を回復する強い意志と能力がある
- 文系と理系の融合や、学内外のコミュニケーションを通じて、より開かれた大学への変革を進める力がある
入試・高大接続を担当する理事も経験
藤垣氏は東京都生まれの64歳。専門は科学技術社会論と科学計量学。2021年から2025年度までは理事・副学長として、学生支援、入試・高大接続、評価、研究倫理を担当した。
| 年 | 主な経歴 |
|---|---|
| 1985年 | 東京大学教養学部基礎科学科第二 卒業 |
| 1990年 | 東京大学大学院総合文化研究科 博士課程修了、博士(学術)。教養学部助手 |
| 1996年 | 科学技術庁科学技術政策研究所 主任研究官 |
| 2000年 | 東京大学大学院総合文化研究科 助教授 |
| 2010年 | 同 教授(現在まで) |
| 2021年 | 東京大学 理事・副学長(2025年度まで) |
会見で語ったこと
藤垣氏は9月29日午前、本郷キャンパスの山上会館で記者会見に臨んだ。
冒頭では、入試担当の理事だったころに高校生向けに行った講演を紹介した。人間は文化や教育を通じて世代から世代へ知識を受け渡す仕組みを持っており、大学はその大切な一つだと説明し、「人類の情報伝達のバトンを受け取るのが大学に行くことの意味」だと語った。
また、アメリカでは学術への信頼が下がっており、その点は見習ってはならないと指摘。25年後、50年後の学術への信頼に責任を持ち、日本と世界の学術を引っ張っていくことが東京大学の役割だと強調した。
初の女性総長になることについては、東京大学が来年(2027年)に迎える創立150周年を自身が初の女性総長として迎えることが、社会への大きなメッセージになるのではないかと期待を述べた。
よくある質問
Q. 東京大学の次期総長は誰?
A. 大学院総合文化研究科の藤垣裕子教授。2026年9月28日に次期総長予定者に選ばれた。女性が東京大学の総長になるのは初めて。
Q. 任期はいつから?
A. 2027年4月1日から2033年3月31日までの6年間。文部科学大臣の任命を経て、第32代総長に就任する予定。
Q. 意向投票では何位だった?
A. 2回目の投票で553票の2位。最も多かったのは染谷隆夫候補の1,107票だった。
Q. 意向投票の1位でない人が選ばれたのはなぜ?
A. 総長予定者を決めるのは意向投票ではなく「総長選考・監察会議」で、所信や面接、意向投票の結果などを総合的に考えて判断する仕組みになっているため。会議は、学術への信頼を回復する力などを評価したとしている。
Q. 藤垣裕子教授の専門は?
A. 科学技術社会論と科学計量学。2021年から2025年度までは理事・副学長として、学生支援、入試・高大接続、評価、研究倫理を担当した。
出典
東京大学ウェブサイト
- 次期総長予定者に藤垣裕子氏を選出(プレスリリース)
- 次期総長予定者の藤垣裕子教授が会見
- 東京大学 次期総長予定者 選考結果、選考理由及び選考過程(PDF)
- 次期総長予定者の決定について(総長選考・監察会議議長、PDF)
- 総長選考(令和8年度実施)
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